いじめを助長するもの

不登校の原因の一つに「いじめ」があります。一言にいじめと言っても、様々な背景がありますが、今回は、子どもが、学校で感じたいじめについての話をしてくれたので、一つの事例としてご紹介させていただきます。

いじめのきっかけは「宿題」だった

先日、学校で「いじめられた」と認識し、学校に行きにくくなった子どもとお話をする機会がありました。いじめのきっかけは「宿題を提出しなかったこと」だそうです。
その子のクラスでは、宿題を提出しなかった子どもは、黒板に名前を張り出されていたそうで、その頻度が増えていくうちに、お友達からのいじめが始まったと言います。

クラスのトップである先生の対応が影響

クラスで一番力を持っているのは先生。
その先生が、子どもたちの前で強く叱ったり、黒板に名前を貼り出すことは、子どもたちにとって強い影響を与えます。
いつも先生に怒られている子どもは、クラスで立場がどんどん弱くなっていく傾向にあるのだと、子どもたちは言っていました。

そのような先生の行為は、現代の言葉で「公開処刑」であったり、「晒し系」と呼ばれるようです。
その後の子どもたちのクラスでの、居場所に大きく影響していったと教えてくれました。
そして、だんだんと行きにくくなり、不登校になっていったと…

責めたくなる人の心理

子どもたちの話を聞いていると、大人の行動が、子どもたちの間では、潜在的に大きく影響しているのだということがわかりました。

しかし、宿題をしないのは、その子の問題。
学力が落ちてしまうことや、宿題をすることの意味を伝えて諭す程度でいいのではないでしょうか?
それなのに、名前を貼り出したり、他の子供たちの前で強く叱るなど「罰」を与えたくなるのはなぜなのでしょう。

それは、与えられた課題は守るものという気持ちが強いためだと思われます。

だから、感情的になってしまう。
親でもよくあることです。時には、言葉の暴力を子どもに浴びせてしまうこともあるかもしれません。
でも、それによって、子どもたちの関係性まで影響しているのかもしれないと思うと、行動を気をつけなければ!と思いますね。

子どもは、意外と周りをよく見ている

子どもの話を聞いていると、意外にもクラス全体を見渡し、友達のキャラクターや、立ち位置を分析していることがわかります。中でも、スポーツが得意な子、勉強ができる子、リーダーシップが取れる子、面白い子などは、人気者になりやすいそうです。

そういう子たちは、「スクールカースト上位」の子どもたちだと言っていました。しかし、忘れ物の多い子や、問題をよく起こしてしまう子は、先生にもよく怒られ、「スクールカースト下位」の世界に入ってしまうそうです。そうなると、自尊心が低くなり、本来の自分を表現できなくなることもあり、とてもしんどい学校生活になります。

そして、一度、「いじめられる存在」だというレッテルを貼られると、その子はなかなかそこらか脱出できません。そうしているうちに、どんどん自信がなくなり、学校に行きにくくなったり、精神的にしんどくなったりしてしまうのです。

私たち大人も、子どもだった時代があります。今は、すっかり忘れてしまっているけど、その時に感じていた希望や、悩みがあり、それが全ての世界に生きていました。そして、今の子どもたちも同じです。今、その子が見ているもの、感じているものが、全てであり、その子の基盤になっていきます。だからこそ、周りにいる大人は、一方的な価値観を押し付けるのではなく、一人の人間として、寄り添っていきたいものですね。

line-banner

ログイン