発達障害と言われている人は、定型発達の人と、根本的に脳の構造が違うため、お互いが理解し難く、問題視されています。発達障害者が、少数であることから、今の世の中を生きづらいと感じている人が少なくありません。
では、そもそも何が違うのでしょうか?
発達障害にも、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥障害(ADHD)、学習障害(LD)など様々な特性があり、一概には言えませんが、どの障害も、定型発達の人とは、認知機能が違っているのは確かです。
今回、少しでも、発達障害の方が認知している世界がわかるよう、書籍や当事者の言葉を借りて、紹介していきたいと思います。
発達障害の人は、記憶の仕方が違う
発達障害の人の中に、昨日の出来事は、すっかり忘れてしまっているのに、昔の記憶を、事細かに覚えている人がいます。
それも、「あの時のお昼ご飯は、◯◯だった」とか、「あの時、あなたはこう言って、私は、こう返した」とか、まるで、さっき見てきたかのように、説明ができるのです。
定型発達の人にとっては、出来事は覚えていても、食べ物やセリフまでは覚えていない・・・ということが多いのではないでしょうか?
発達障害の人にとって、記憶とは、「無造作に置かれた写真」のようなものだと表現されています。
写真には、その時の情景がはっきり残っているのですが、乱雑に置かれているので、時間の概念がなく、「遠い過去」でも、写真があれば、まるで「昨日」のことのように話せます。しかし、逆に、「昨日」の写真がなければ、「昨日」のことは、全く思い出せないのです。
そして、発達障害の人にとって、過去とは、写真そのものには、感情がないように、「出来事」として捉えることが多いので、感情の共有ができないことが多いのです。
しかし、提携発達の人にとっては、過去は、時間が数珠つなぎになってできているもの。昨日は、近い過去だし、1年前の出来事は、遠い過去として感覚的にも捉えられるのです。
そして、定型発達の人にとっての過去は、感情によって記憶されていることが多く、印象に残った出来事に「感情」を交えて、記憶していることが多いのです。
そのため、発達障害の人と、健常発達の人が、過去の共通点を会話として引き出すと、お互いが、感情のズレを感じることになってしまいます。
現実にないものが見える「マインズ・アイ」
学習障害の中に、文字が読めない人がいます。この症状を「ディスレクシア」と言いますが、これも脳の認知機能が違っているため、引き起こされる症状だと言われています。
ディスレクシアの人は、文字が立体に見えたり、線が何本にも見えたり、人によって様々でまだまだ解明されていないことが多いのですが、ディスレクシアであることで、定型発達の人にはない能力があると言われています。
ディスレクシアの人の中には、想像しただけで、あたかもそこに、そのものがあるように見えたり、感じたりすることができる人がいます。
例えば、手のひらにケーキを想像すると、ケーキが見えてきて、想像の中で角度を変えれば、実際にケーキの裏側が見えるそうです。
かの有名な、ウォルトディズニーもディスレクシアだったと言われていますが、有名な芸術家にディスレクシアが多いのは、想像する力が長けているからだと言えるでしょう。
能力があっても生きにくい発達障害者
文部科学省のデータによると、公立小中学校5万人に対する調査で、約6.5%の子供が発達障害であると言われています。
しかし、これは通常級に通う子どもを対象にしており、知的障害児を除いているため、全体の数字としては、もっと増えると言われています。
しかし、それでもやはり少数派。発達障害という言葉も2000年以降、有名になってきたというところでは、現代では、まだまだ理解されることも、活躍する場も少なく、理解してもらえないという体験をしている人が多くいます。
そして、発達障害児を育てる親も、同じ思いでいることでしょう。
発達障害者の中には、感覚過敏や、こだわりの強さ、感情のコントロールの難しさなど様々な問題を抱え、発達障害の特性自体が苦しいと感じている人もいるでしょう。
しかし、ただ、認知機能が違っているだけなのだと理解するだけで、余計な誤解を生まずに解決できる部分もたくさんあると思います。
金子みすゞ氏の詩にある「みんなちがって、みんないい」を実現できる社会にしていきたいものですね。